Denali

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冒険野郎報告会の記録

書き手が現れた^^

出会いは、去年の冒険野郎だった。
あれ以来、山行こうよ^^から始まり、名古屋からサクッと来てくれる~!
アイスクライミングに沢登りに、そのアクティグさにこないだの沢ではカエルに見えてきた^^

こんな感じで今後も形に残せていけたらいいね、ありがとう!

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*****  倉内健治  ***** 

ヒマラヤ、北極圏を中心に自転車旅を続ける倉内さんは、やわらかな関西弁で話し始めた。今回の発表は、ここ10年の旅の集大成ともいえる内容なのだが、自転車旅の思い出を語る様子は、ストイックというよりは、自転車旅を愛してやまない青年という印象で、おそらく会場にいた誰もが微笑ましい気持ちになっただろうと思う。

話はヒマラヤから始まった。ママチャリにスナフキンという名前をつけ、チベットを目指し自転車をこぐ。その道中、「衝撃的だった」のは人の優しさだった。見ず知らずの日本人を村人は助け、食事や宿泊の世話までしてくれることもあった。時には無邪気な笑顔を向ける村の子供達と遊び、恋もした。辛いことがあると「面白くない!もうやめる!!」と弱音を吐くのだが、こういった人々との出会いが旅を続ける原動力になり、角を曲がるたびに目の前に広がる雄大な景色が、自転車をこぎ続ける理由となった。

その後、北極圏へと舞台を移す。初めての北極圏は、スバールバル諸島(ノルウェー)のスピッツベルゲン島だった。サラリーマン時代の有給休暇を利用しての短い旅で実際に自転車に乗れたのはたったの半日。その半日のために限られた休暇と少なくないお金を費やした。「誰も止めてくれなかったの?」と本人は言うが、周りの誰もが止めても聞かないだろうと諦めていたのは容易に想像がつく。
そんな経験を経て、ついに仕事を辞め退職金をつぎ込んで念願のカナダ北極圏に足を踏み入れた。イエローナイフからマッケンジー川沿いに2ヶ月、自転車で北上した末、氷結した海にたどり着いた。一面の雪と氷の景色に感無量であったが、その後の海上を走行する11日間で、自転車を漕げたのはたったの20秒ほどだった。雪が深くて自転車を漕ぐことができないためだ。ほとんど押して進むことになり、大切な相棒である自転車自体がハンデとなってしまった。会場からの失笑をかい、照れ臭そうにしていた倉内さんだったが、「自転車がないと僕としては意味がない」と、自転車旅行者としてのプライドを垣間見せたのが印象的だった。氷結した海上での旅では、その走行を阻む雪がもたらす不安 との戦いになった。「雪が降ったら帰れないな」とだんだん追い詰められ、その思いがピークになった時、「自分でここでやめようと思うて満足して帰った」。サラリーマン時代は、限られた時間で自転車旅をしていたが故に不完全燃焼な部分があった。しかし、今回は無限にある時間の中で燃え尽きるところまでやることができた。満足できたのだ。

とはいえ、これで倉内さんの自転車旅が終わるわけではなさそうだ。極地冒険家に雪の上を走れる自転車を教えてもらってしまったのだ。ただし今は極地だけでなく、それ以外でも面白いところに行きたいという。そうは言いつつ、それよりも「今は仕事を頑張りたい」と、倉内さんは熱い思いを語り、それを見守る会場の温かい雰囲気の中、報告は締めくくられた。

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*****  小阪健一郎(けんじり) 「黒部横断沢登り」  *****

けんじりこと小阪さんは、京都の現役医学生で、大学入学後に登山を始め、沢登りを覚えた。それから8年。遡行した沢の数は3桁に登り、辺境や離島でのクライミングにも出かける。そんなけんじりさんが去年の晩秋、相棒の大部さんと黒部横断沢登りというのをやってのけた。黒部横断というと通常、「北アルプス北部後立山連峰から黒部川をはさんで剱岳に至る山域を雪のある時期に文字通り横断する山行」(※1)だ。「いったん足を踏み入れたなら行くも戻るも数日間かかるという隔絶された山域。」(※1)を舞台に、厳しい気候条件も相まって誰でも簡単に手を出せる代物ではない。その黒部横断を沢登りとして雪のない時期に10日間をかけて行ったものが、黒部横断沢登りで、その報告が 今回のけんじりさんに課されたお題だった。沢登り、まして黒部横断に予備知識のない人にとっては何が難しいのかわかりにくいし、苦労や楽しさや意義がいまいち伝わらないかもしれない。でも、小学一年生のようにテンション高めで話すけんじりさんの様子を見ていると、その面白さが伝わってくるような気がするから不思議だ。

 この報告の前半のハイライト剱沢大滝を越えるその途中、焚き火のテラスという有名な場所がある。そこまでの道のりをやけに詳しく解説していた。とはいえ、参加者はなかなか実感がわかず、へー、すごいなぁという感じだ。それに気がついたのか、「みんなにも行って欲しいからこんなに説明してる。みんな行ってくださいよ」とけんじりさんが釘をさす。会場からは笑いが起こった。ところが本人はいたって真剣で「I滝の焚き火のテラスまでならみんな行けるんですよ。登れる人と一緒なら。」と続ける。いやいや簡単に言うなよという周りの反応などお構いなしの様子だった。
話は、剱岳の池の谷に移った。前週に降った雪はガリガリに凍り、とても危険な状況となっていて、「剱沢登って浮かれていたんですけど、日に日にやばい日が続くようになった」。滑ってお尻を怪我したことや、雪解け水が冷たすぎて死ぬかと思うようなこともあった。
黒部横断沢登りの詳細については、山と溪谷2016年1月号や相棒の大部さんが所属する山登魂のHPにあげた記録が全容を掴むのに参考になる。一読をお勧めする。

 写真を織り交ぜながらの報告の後、主催者である稲葉さんから「まとめて」と声がかかった。最後にその時のけんじりさんを言葉を引用したいと思う。
「いろんなところにこうやっぱりいろんな課題があると思うんで。いろんな課題っていうのは、いろんな登るもんであったり、泳いで取り付くようなものでもいいんですけど、何かこう、人と違ったことをやりたいなと思う人がいたら意外と近くにも人がやったことのない面白いことが眠ってるんじゃないかと思って、地図とか衛星写真とか(中略)そういうのを見ながら面白いのを見つけて、ぜひみんな登ったりしてください。」
けんじりさんの真骨頂は、辺境や離島でのクライミングのように、自分で見つけて登りに行くという行為だ。小学生が裏山に探検に行くように日本国中、時には海外までひょこひょこと出かけ、それを本当に嬉しそうに語る。無邪気なもんだなぁと思わずにはいられないが、そこがけんじりさんのいいところなのだ。

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※1 WILLDERNESS2014No.3 「厳冬期黒部横断の5年間」
参考:山と溪谷2016年1月号/山登魂 ホームページ/日本山岳会YOUTH CLUB 2015年 海外登山隊4隊の報告と黒部横断の山行報告 資料/
 
*****  大島義史「気軽に行ける、南極」  *****

 生きるか死ぬかのギリギリの環境である南極を自転車で旅をした話はさぞかしハラハラドキドキの連続で・・・と期待したのはなんだったんだろうと、思わず苦笑いをしてしまうような報告だった。とは言っても、苦笑いは大島さんに向けられたものではない。南極を魅力的に見せる大きな要素である、”危険”が取り除かれ、驚くほどの「気軽」さが用意されているという実態に苦笑いしてしまったのだ。それはもう、観光地そのもので、南極での注意点などのレクチャーを受けるところから始まり、豊富に揃った防寒具やギア類のレンタル、街と違わない食事や施設、果ては大島さんがわざわざ日本から持ちこんだ自転車すら既にアクティビティとして用意されている始末だった。その様子は異様とし か言いようがない。南極でさえも、なんでもできてしまう時代なのだ。日本で装備を思考錯誤し、寒さに耐えるため冬でも半袖短パンで(子供達に残酷な言葉を浴びれられても)南極に備えた大島さんの驚愕と落胆は計り知れない。

 手続きもパソコンでクリックすればアレンジでき、何も持たなくてもほぼ現地調達が可能なほどの手軽さで南極旅行はできる時代になった。そんな時代、何が南極行きを難しくしているかといえば、「お金」だと大島さんは言った。観光としていくにしても手軽な金額ではないし、大島さんの場合は1200万円の借金をして、総額2000万円を用意した。そこまでした南極を「わざわざお金を出してまで行かなきゃいけないかというと、そうじゃないと思う」と話した。

 では大島さんにとって、南極に行く価値とはなんだったのだろう。それを、「もうこんなこと2度としたくないという思いを何千回も繰り返した末に南極点に辿り着くこと」だと説明した。そしてもう一つ重要な点は「サラリーマンとして全てを満たして南極に行く」ことだった。「会社員をしながら南極へ行くのはきつい。でも会社員をしながらやりたい。」とそこにも価値を見出している。サラリーマンだからと諦めるのはよくある話だし、南極へ行きたいから仕事を辞めるより、続けながら挑戦する方がより困難が多い。だが、結果から言えば、今回の南極自転車旅行そのものに大島さんは満足を得られなかった。体力的にも精神的にも追い詰められるところまでには至らなかったためだ。それはサ ラリーマンでも行けるという点を頑固なほどにこだわり抜き、会社や家族との折り合いをつけることに重きを置いていたからこその結果でもあった。

 今の日本で、自分が所属する社会に留まったまま、周囲の理解を得られにくい計画を実行しようとすることは実はスリリングで、面白いものなのかもしれない。
「規制を破らない。(規制を安易に破るのは)それは楽だし逃げだと思うから。」と思うからこそ、
その解決にも面白さを見出しているのが大島さんの南極自転車旅行だった。南極はどこを走ってもいい。そう実感した時、「道の上だけを走っている自分がバカらしくなった」という。光の乱反射で虹色に輝く真っ白の大地を自転車で自由に走る経験はその代償や苦労を背負いこむだけの価値があった。「特別を排除したい」という言葉は、そんな南極に惚れ込んでしまったサラリーマン大島さんの一途な気持ちの表れのように感じた。

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*****  書き手  朝日陽子  *****

愛知県出身 転職を機に山に深入りし、山ガールになるつもりが今や沢にも雪山にも出かけ、思い描いていた人生から足を踏み外しかけている山好き。
「登る人」というFacebookページ(誰でも見られます)で山について書いたり、トークイベントの開催を企んだりしている。
http://www.facebook.com/noboruhito

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【フライングでお知らせ】

ちょっと先ではありますが、10月6日(木)にノンフィクション作家の角幡唯介さんを名古屋にお迎えして、
トークイベントを行います。
19:00から、名古屋駅から徒歩5分の場所です。
詳細は追ってお知らせします。
ちなみに、参加費2000円くらいをいただこうと考えています。
それでも行ってみたいなという方は朝日までご連絡を。
数ヶ月に及ぶ真っ暗な極夜の旅、出発直前の角幡さんをぜひ見に、というと珍獣っぽいですが、面白いお話が聞けるかと思いますので、お誘い合わせの上、ぜひいらしてください。
朝日陽子

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角幡唯介さんのブログ
http://blog.goo.ne.jp/bazoooka
by talkeetna6194 | 2016-08-04 02:30 | 千早DAY

日常への旅


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